カルスタの本

『映画でわかるカルチュラル・スタディーズ』という本を読んだ。映画書の入門編といえるシネレッスンシリーズの別冊として出たもので、書名からさらっと読めてしまえそうな印象を受けて若干ナメつつ読んだんですが、大学の講義録だけあって意外にも骨太な内容。
章立ては

01 ポピュラー・カルチャーを読む
02 カルチュラル・スタディーズの方法
03 セクシュアル・サブカルチャー
04 ポストコロニアリズムの展開
05 マルチカルチュラリズムの移住者たち
06 テクノカルチャーとポストモダニズム

となっており、2章では手始めに『羊たちの沈黙』などのシリアルキラー(連続殺人鬼)もの、3章はマドンナ分析、5章ではスパイク・リーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』解読、6章では『ブレードランナー』と『エイリアン』シリーズの分析がなされます。まあ他にもいろんな映画や小説が分析されているんですが、観たり読んだりしたこともないものの分析は読み流してしまいました。

支配文化に逆らう対抗文化(カウンター・カルチャー)という図式自体もはや自明ではないわけで、「資本主義文化のなかでマージナルな存在となった人々へ新たな力と戦略を与える文化政治学」とかいわれても読んでてキビしいところも多々あったり…。結局は疎外論にいってしまうのがカルスタが批判される所以なわけで、あまり得られるものはなかったかなぁ。アメリカのリベラリズム思想に疎いのでその辺の入門書読もうかな。

映画でわかるカルチュラル・スタディーズ (Cine lesson (別冊))

映画でわかるカルチュラル・スタディーズ (Cine lesson (別冊))